金利は今後どうなる?2025年の不動産価格と投資判断のポイント

金利は今後どうなる?2025年の不動産価格と投資判断のポイント

不動産投資において「金利」と「不動産価格」は切っても切り離せない関係にあります。

とくに融資を活用して投資を行っている方にとって、金利の変動は資金繰りやキャッシュフロー、さらには物件の購入・売却タイミングにも大きな影響を与えます。

本コラムでは、不動産投資家が知っておくべき「金利と不動産価格の関係性」を解説するとともに、2025年の金利動向を踏まえた今後の投資判断やリスク対策について詳しくご紹介します。

 

金利と不動産価格の基本的な関係

金利と不動産価格は密接に関係しており、特に融資を活用した不動産投資においては、金利の変動が購入可能額や物件価格の推移に大きく影響します。

金利の上昇・下降が市場にどのような波及効果をもたらすのかを理解することは、投資のタイミングを判断するうえで欠かせない視点です。

 

金利が下がると不動産価格は上がりやすい

金利が下がると、住宅ローンや投資用ローンの借入コストが低くなるため、購入者や投資家がより高額な物件を購入しやすくなります。

例えば、借入金利が1%台の場合と3%台の場合では、同じ返済額でも借りられる金額に大きな差が出ます。

このため、金利が低い環境では、資金力が強まった買い手が市場に増え、不動産の需要が高まります。

需要が増加すると、不動産の価格は自然と上昇圧力を受けやすくなります。

 

過去の事例としては、2000年代初頭から2010年代前半まで続いた日本の低金利政策が挙げられます。

特に2010年代後半には日銀のマイナス金利政策導入後、住宅ローン金利が歴史的な低水準となり、その結果、首都圏を中心にマンションや戸建て住宅の価格が上昇しました。

また、欧米でも2008年のリーマンショック後に各国が金利を大幅に引き下げたことで、不動産市場が回復基調に転じ、価格が上昇する傾向が見られました。

これらの事例は、金利低下が不動産価格の上昇を後押しする典型的なパターンとして理解されています。

 

利回りとのバランス

不動産投資において、金利だけでなく「利回り」とのバランスを見極めることが非常に重要です。

利回りとは、物件の年間賃料収入を購入価格で割った割合のことで、投資収益の目安となります。

例えば、表面利回りが5%の物件でも、借入金利が3%の場合と5%の場合では投資の魅力が大きく異なります。

金利が利回りに近い、あるいは上回ると、借入金利負担で収益が圧迫されるため、実質的な投資収益が低下してしまいます。

 

このため、投資判断では「利回り-金利=投資余力」がプラスであることが望ましく、金利が上昇する局面ではより高い利回りを確保できる物件を選ぶ必要があります。

利回りが低く、金利が上昇すると、キャッシュフローがマイナスになるリスクが高まり、投資の継続や出口戦略にも影響が出ます。

したがって、金利動向を踏まえた利回りの見極めは、不動産投資成功の鍵と言えます。

 

2025年現在の金利水準と政策動向

2025年の現在、日本は長らく続いた超低金利政策からの転換期にあります。

日銀の政策変更や世界的な金融環境の変化により、市中金利は上昇傾向にあります。

こうした最新の金利動向を正しく把握し、市場環境を理解することは、適切な投資判断を下す上で非常に重要です。

 

長らく続いた低金利時代の終わり

日本では1990年代のバブル崩壊以降、経済の停滞やデフレ傾向に対応するため、日銀はゼロ金利政策やマイナス金利政策を長期間にわたり実施してきました。

この結果、住宅ローンや企業向け融資の金利は非常に低い水準にとどまり、借入コストの低減が不動産投資や住宅購入を支えてきました。

しかし、2020年代に入り世界的なインフレ圧力の高まりを受けて、日銀も金融緩和政策の見直しに着手。

2023年末にはマイナス金利政策を終了し、政策金利の引き上げが始まりました。

 

これにより、日本の市場金利は徐々に上昇に転じ、長期間続いた低金利環境が終焉を迎えつつあります。

特に不動産市場においては、これまでの低金利を前提とした投資スキームが見直される必要が生じており、融資の審査も厳格化。

借入負担の増加はキャッシュフローの圧迫につながり、投資家は新たなリスク管理を迫られています。

この金利環境の転換は、不動産投資の戦略を大きく変えるターニングポイントとなっています。

 

日銀と世界経済の影響

日本の金利動向は、国内の金融政策だけでなく、世界経済の状況や各国中央銀行の政策とも密接に関連しています。

日本銀行(日銀)は、長期間にわたり超低金利政策を維持し、経済のデフレ脱却と成長促進を目指してきました。

しかし、アメリカ連邦準備制度(FRB)や欧州中央銀行(ECB)がインフレ抑制のために利上げを加速すると、グローバルな資本移動が起こり、日本の金利にも影響を与えます。

 

具体的には、米国の金利上昇に伴いドルが強くなると、円安が進みやすくなり、それが輸入物価の上昇やインフレ圧力を強めます。

これを受けて日銀も金融政策の見直しを余儀なくされ、結果として国内金利の上昇につながることがあります。

さらに、世界経済の景気変動や金融市場の不安定化も日本の金融市場に波及し、金利の変動要因となります。

したがって、不動産投資家にとっては、日銀の政策動向に加え、米国や欧州の経済動向も常に注視することが重要です。

 

金利上昇が不動産価格に与える影響

金利が上昇すると、住宅ローンや投資ローンの返済負担が増えるため、需要が抑制されやすくなります。

これは実需物件だけでなく投資用不動産の価格にも影響を与え、特に利回りと金利のバランスが崩れることで市場全体の調整圧力が強まる傾向があります。

 

実需物件への影響

住宅ローン利用者にとって、金利上昇は直接的な購買力の低下を意味します。

返済額が上がれば「購入できる物件価格の上限」が下がるため、需要は抑制されます。

その結果、マンションや戸建て住宅の価格が下落圧力を受ける可能性があります。

とくに価格上昇が著しかった都市部の新築マンションなどは、買い手の反応が鈍くなり、販売在庫が増加する傾向が出てきています。

 

投資用物件への影響

金利の上昇は投資用不動産市場に直接的な影響を与えます。

融資を利用して物件を購入する投資家にとって、金利は借入コストの大きな要素であり、金利が上がると毎月の返済額が増加します。

その結果、キャッシュフローが圧迫され、収益性が悪化するケースが増えます。

特に利回りが低い物件の場合、金利上昇により収支が赤字になるリスクも高まります。

 

また、借入負担の増加は投資家の購入意欲を低下させるため、需給バランスが変化し物件価格が下落する圧力となります。

さらに、金融機関の審査基準も厳格化しやすくなるため、融資を受けにくくなる可能性もあります。

このように金利上昇局面では、利回りの確保や自己資金の増強が重要となり、投資用物件の選定や運用戦略の見直しが求められます。

 

金利上昇局面での投資判断と戦略

金利が上昇する環境下では、従来の投資手法を見直す必要があります。

長期固定金利の活用や自己資金比率の見直し、高利回り物件へのシフトなど、多角的なリスク管理が求められます。

こうした対策を講じることで、金利変動の影響を最小限に抑えることが可能です。

 

長期固定金利でリスクヘッジを図る

金利上昇期においては、将来的な金利負担を固定することが安定経営の第一歩となります。

特に、現在のように金利が底打ちし、緩やかな上昇基調にある局面では、変動金利から長期固定金利への借り換えを検討することが合理的です。

固定金利ローンであれば、将来金利が2〜3%台に達したとしても、契約時の金利水準で返済を続けることが可能となり、資金繰り計画が立てやすくなります。

たとえば、1%の固定金利で35年ローンを組めば、返済額が変動せず、長期的なキャッシュフローを安定させる効果があります。

また、借入金額が大きい物件や、空室リスクの高いエリアでの投資であればあるほど、金利変動の影響は深刻になるため、ローンの固定化は重要なリスク管理手段となります。

 

利回りの高い物件を厳選する

金利が上がると、ローン返済の負担が増えるため、物件の利回りがその影響を吸収できるかどうかが重要な判断軸になります。

たとえば、金利が1%から2%に上がれば、毎月の返済額は数万円単位で増える可能性があります。

利回りが低い物件(表面利回り5%未満)では、金利上昇によりキャッシュフローが赤字に転落するリスクが高まります。

 

一方で、築古アパートや地方都市の中古物件などは、利回りが高く、金利上昇の影響を受けにくい傾向があります。

たとえば、表面利回りが8〜10%の物件であれば、多少の金利上昇があってもキャッシュフローを確保しやすくなります。

ただし、こうした物件は空室リスクや修繕費の増大、立地による流動性の低さといった注意点もあるため、購入前に長期の収支シミュレーションを行い、売却時の出口戦略も視野に入れた検討が必要です。

数字に強くなり、「利回りに見合うリスクかどうか」を冷静に判断することが求められます。

 

自己資金比率の見直し

低金利時代は、フルローンやオーバーローンによってレバレッジを効かせた投資が比較的容易に成立していました。

しかし金利が上昇する今後の環境では、借入金額が多いほど返済負担が重くなり、投資効率が大きく損なわれるリスクがあります。

そのため、自己資金比率を高め、借入金額を抑える戦略が有効です。

 

たとえば、従来は1割程度の頭金で投資を始めていた人も、今後は2割〜3割の自己資金を用意し、借入総額を抑えることで金利負担を軽減できます。

また、キャッシュフローの悪化に備えて、手元資金の余裕を持たせておくことも重要です。

予期せぬ修繕費や空室による収入減にも対応できる「現金のクッション」があるかどうかで、経営の安定性が大きく変わります。

今後の投資は、「最大限借りる」ではなく「適切に借りて確実に回す」姿勢が求められます。

 

今後の金利見通しと不動産価格の動向

今後の金利動向は、世界経済や国内政策に左右されながら緩やかな上昇が見込まれています。

それに伴い、不動産価格は地域や物件種別によって差が出てくるため、市場の二極化が進む可能性があります。

将来を見据えた柔軟な投資戦略が求められます。

 

今後の金利見通し

2025年後半から2026年にかけて、日本銀行は緩やかな利上げを継続すると見られています。

すでにマイナス金利は解除されており、物価の高止まりや円安の影響を受け、今後も0.25〜0.5%程度の小幅な金利引き上げが続く可能性があります。

ただし、急激な利上げは景気に悪影響を与えるため、日銀は慎重なスタンスを維持しています。

今後数年は「ゆるやかな金利上昇局面」が続くと予想され、住宅ローンやアパートローンの金利も段階的に上がっていくでしょう。

 

不動産価格は横ばい〜選別的な調整へ

2021年〜2024年にかけて高騰した不動産価格は、2025年時点で天井感が出てきています。

都市部の新築マンションなどは高止まりを続ける一方で、郊外や築古物件では価格が伸び悩み、売却までの期間も長くなっています。

特に金利上昇により借入負担が増えたことで、買い手が慎重になっており、投資用物件では利回りと金利のバランスが合わず、購入を見送る動きが広がっています。

その結果、「立地・築年数・稼働状況」などによって価格の明暗が分かれる、いわゆる“二極化”が進んでいます。

 

投資家に求められる姿勢

金利が上がり、物件価格が調整に入る中では、「収益が安定しているか」「将来の出口戦略まで想定できるか」が投資判断のカギとなります。

固定金利への切り替えや、借入額の見直し、利回りの高い物件の選別など、これまで以上に慎重で実利重視の投資姿勢が必要です。

今後は「価格が上がるから買う」ではなく、「長く安定運用できる物件を選ぶ」という視点が成功への道になります。

 

金利を読む力が不動産投資の成否を分ける

本稿のまとめとして、金利と不動産価格の関係を再確認し、これからの投資戦略の方向性を明確にしましょう。

不動産価格と金利は、常に相関関係にあります。

とくに融資を前提とした投資を行っている場合、金利の変動は「キャッシュフロー」「投資判断」「出口戦略」すべてに影響を与えます。

 

今後、2025年以降は金利上昇が続く可能性が高く、不動産市場も調整局面に入ることが想定されます。

投資家としては、「金利上昇に耐えうる物件かどうか」を見極めながら、リスクを抑えた安定的な運用を心がけていく必要があります。

不動産投資においては、「金利を読む力」こそが、最も重要なリスク管理であると言えるでしょう。

 

  

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